分数の割り算のイメージと逆数をかける理由を解説!【これならわかる】

"わかりやすい"分数の割り算 算数・数学

分数の割り算は、割る数の逆数を掛ける、と小学校で習ったかと思います。しかし、なぜそうすると良いのか分からないという方や、分数で割ることのイメージがわかない、という方も多いのではないでしょうか。今回は、これらの疑問に答えるために、分数の割り算について考えていきます。

まず先に、上記の疑問に対する答えを示しておきます。

  • 分数の割り算は、「等分」ではなく「割る数いくつぶんか」を求めていると考える
  • 逆数をかける理由は“約分”にあり

以下では、上記についてより詳しく説明していきます。

以降、a/bという表記が出てきますが、これは\frac{a}{b}と同じ意味です。

そもそも分数で割るとは?

まずは、そもそも分数で割るというのはどういうことなのかについて考えてみましょう。

割り算のイメージとして多くの方が最初に思い付くものは、等分するというものではないでしょうか。

たとえば、ガラス瓶の中に飴が12個入っていたとします。この飴を4人で(等しく)分けた時、1人何個もらえるでしょうか。

この答えは、12 \div 4 = 3\,個ですね。この様に、割り算には等分するというような意味があります。しかし、この考え方で分数の割り算を考えることはできません。(12個の飴を1/2人に分けると言われても意味がわかりませんね。)

では、分数の割り算というのは、現実にはあり得ない計算なのでしょうか。そうではありません。実は割り算には、等分の他にも意味があるのです。そして、他の見方をすることで、分数の割り算の意味がわかりやすくなります

割り算の意味 – 基準の何倍か

割り算は、ある基準となるものに対して、比較対象は何倍であるかを調べる際にも使用します。以下では、実際にの東京ディズニーランドと東京ドームの面積を、割り算を用いて比較してみます。

Wikipediaによると、

  • 東京ドームの面積は、46,755\ \rm{m}^21
  • 東京ディズニーランドの面積は、およそ510,000\ \rm{m}^22

なのだそうです。では、東京ディズニーランドの面積は東京ドーム何個分でしょうか。ただし簡単のため、東京ドームの面積は以下では47,000\ \rm{m}^2とします。

基準に対して何倍かを求める場合、以下の様に計算します。

(比較対象) \div (基準)

今回の問題であれば、比較対象は東京ディズニーランドの面積、基準は東京ドームの面積になります。実際に計算をすると、

\begin{align*}
510,000 \div 47,000&=10.85\cdots \\
&\fallingdotseq 11
\end{align*}

となります。つまり、東京ディズニーランドはおよそ東京ドーム11個分です。

このように、割り算には「いくつ分か」、「何個分か」、「いくつ入るか」、「何倍か」、、、、などの意味もあります。分数の割り算の場合、この意味で考えると具体的なイメージがつきやすくなります

\fallingdotseqはほぼ等しいという意味です。

分数の割り算のイメージ

上記を踏まえて、分数の割り算の意味を再度考えてみます。

例として、ピザが2枚ある状況を考えます。このピザ2枚は、何ピース分でしょうか。ただし、ピザの直径は全て同じであり、ピザ1ピースはそのピザを正確に8等分したものの1つ分のサイズ(つまりピザ1/8枚)とします。

この問題を式にすると、

2\div\frac{1}{8}

になります。この答えは、2に1/8の逆数である8をかければ良いので、16となります。

この問題を逆数をかける方法を使わずに解くために、下の様な図を描いてみましょう。すると、図からピザ2枚は16ピースに分けることがわかります。

ピザで分数の割り算を考える

よって、答えは

2\div\frac{1}{8}=16

となります。これは、確かに逆数をかけた時の計算と一致します。この様に、上のような図を書き、割られる数は割る数いくつ分かというように考えると、分数の割り算がイメージしやすくなります。

逆数をかける理由

ここまでの説明で、分数の割り算のイメージを掴むことができたでしょうか。上記の考え方を使えば、どんな分数の割り算であっても、答えを出すことができます。(実際にいくつか他の例も試してみると良いかと思います。)しかし、分数の割り算を考えるたびに上記のような図を書いて計算していては、とても大変です。もっと良い方法はないでしょうか。

どんな分数の割り算であっても、いちいち図を描かなくても機械的に求めることができる方法が、逆数をかける方法になります。以降では、なぜ逆数をかけると分数の割り算を計算できるのか、その理由を説明していきます。ですがその前に、分数に関するいくつかの基本事項を確認しておきましょう。

  1. 分数は(分子)÷(分母)という割り算の形に直せる。逆に割り算a \div bは分数\frac{a}{b}の形に直せる。
  2. 分数の分子・分母に同じ数をかけたり、同じ数で割っても、その大きさは変わらない

上記3つの分数に関する基本事項さえ分かっていれば、分数の割り算では逆数をかければ良い、という理由が分かってきます。

以下では例として、

\frac{3}{7} \div \frac{3}{5}

を計算してみます。まずは普通にこれを計算してみましょう。まず、3/5の逆数を求めます。その結果は5/3です。これを3/7にかけると、求めたい値が得られます。よって答えは、

\begin{align*}
\frac{3}{7} \div \frac{3}{5} &= \frac{3}{7} \times \frac{5}{3} \\
&= \frac{5}{7}
\end{align*}

になります。

次に、別の方法でこの計算をしてみます。まず、割り算は分数に直せるので、

\frac{3}{7} \div \frac{3}{5}=\frac{\left(\frac{3}{7}\right)}{\left(\frac{3}{5}\right)}

となります。しかし、このままでは分子分母が分数になっており、非常に気持ちが悪いです。なので、この分数を簡単な分数に直す方法を考えましょう。

分数の分母が1となる時、その分数の値は分子の値と等しくなります。なので、上記の分数の分母を1にしてみましょう。分母を1にするためには、分子・分母に分母の逆数をかければ良いです。(分数の性質2より、分数の大きさは変わらない。)よって、

\begin{align*}
\frac{3}{7} \div \frac{3}{5}&=\frac{\left(\frac{3}{7}\right)}{\left(\frac{3}{5}\right)} \\
&=\frac{\left(\frac{3}{7}\times\frac{5}{3}\right)}{\left(\frac{3}{5}\times\frac{5}{3}\right)}\\
&=\frac{\left(\frac{3}{7}\times\frac{5}{3}\right)}{1}\\
&=\frac{3}{7}\times\frac{5}{3}\\
&=\frac{5}{7}
\end{align*}

この式をみると、逆数をかけた時の計算と同じになっていることがわかるかと思います。これが分数の割り算は逆数をかければ良い理由になります。

ところで、ある分数の分子と分母に同じ操作をして、より簡単な分数に変える方法は小学校で習っているはずです。そうです。約分です。例えば、4/12という分数があったとします。この分数の分母をより小さい分数に直すためには、分子と分母を4で割ればよく、その結果1/3となります。このような操作が約分です。先ほどの例は、分子・分母に同じ数をかけて分数を簡単にしているので、約分と非常によく似た操作をしています。つまり、分数の割り算は逆数をかける理由は、“約分”をしているから、なのです。

割り算は逆数の掛け算と等価なので、分子・分母を同じ数で割ることは、分子・分母に同じ数をかけることと同じです。

まとめ

それではまとめです。

  • \(a \div b\) には、「aをb等分する」の他に「aはbいくつ分か」などの意味もある
    • 分数の割り算は、後者で考えるとわかりやすい
  • 逆数をかけるのは、“約分”をしているから

この考え方を理解できると、実は0で割ってはいけない理由も見えてきます。この辺りについては、また次の機会に見ていくことにしましょう。

それでは、また次回の投稿でお会い致しましょう。

  1. 東京ドーム (単位) ↩︎
  2. 東京ディズニーランド ↩︎

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